公任と花山院、「紅葉の錦」をめぐって
『十訓抄』の話がおもしろかったので、その話を元に描いてみました。
https://twitter.com/nakuramayumi_u/status/1109597831080239104
朝まだき嵐の山の寒ければ散るもみぢ葉をきぬ人ぞなき(拾遺抄)
『十訓抄』の中では、花山院の提案を公任が承諾しなかったので、変更されなかったはずなのですが、後に、花山院がまとめさせた『拾遺集』では「紅葉の錦」に変えられています。
実はこの歌は、出典によって、微妙に違います。大鏡なんて、嵐山ではなく、小倉山ですし。「朝」が入ることで情景がグッと深くなる気がします。
大鏡:をぐら山あらしの風のさむければもみぢのにしききぬ人ぞなき
拾遺集:朝まだき嵐の山の寒ければ紅葉の錦きぬ人ぞなき
公任集:朝ぼらけ嵐の山のさむければちる紅葉ばをきぬ人ぞなき
(漢字のあて方は本によって違います)
本当に花山院が書き換えさせたのか、別人によるものか、はたまた、本人が直したのかわかりませんが、いろんな本に登場するということは、公任の歌はそれだけ、もてはやされたということでしょうね。