奈倉まゆみの描きつづり

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忘れ物の枕箱に添えまして

藤原実方、道信、公任のやりとりが好き。という話。 「忘れ物の枕箱に添えまして」 (かなり脚色しています)

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妄想を加えると、実方は枕箱を玉櫛笥(玉手箱)に例えてるんですよね。

そういう歌は他にもあるのですが、ひょっとしたら、本当に乙姫様にもらった笄か枕だっんじゃ…。

乙姫様、つまり、道信の恋人です。

 

そんな大事なものを浦島道信がいないところで見たりなんてできませんよ。なんてね。

 

あと、玉手箱を開けると、老人になってしまい、もう会えなくなるから、と解説に。縁起担ぎだそうです。

道信と会えなくなったら困るから。という実方の茶目っ気でしょうか。

 

この歌は道信集にも掲載されています。

 

 

一方、公任は、こういう話は言わずにはいれないんですよ。

和泉式部日記』でも有名な和泉式部敦道親王のスキャンダルも歌のネタにして、この二人相手に詠んでみたり。

紫式部日記』では、酔いに任せてか、藤式部(紫式部)に「若紫はどこですか」と訊ねたり。

 

道信に対しても、最近、あの女性と仲いいよね。真面目な道信でも、おしゃれに気を遣っちゃうよね。と。

 

だから、別に僕は変わってませんよ。と道信は返してるのだったら、この歌もとても広がる気がします。

 

三人一緒だったとは、何にも書いてはないのですが、実方のところと、公任のところ、二度も枕を忘れることもないでしょう。

 

ちなみに、現代で一般的になっている浦島太郎の話ができあがったのは、近代のこと。

 

平安時代には『続浦島子伝記』というものが有名だったようで。

 

『続浦島子伝記』では、浦島子が釣り上げたのは、五色の甲羅を持つ亀でした。その正体は仙女だったのです。

彼女に仙界に連れて行かれた浦島子は、そこでもてなしをうけます。

そして、乙姫と浦島子は体の関係をもちます。

漢籍が読める殿方向けの艶本の要素もあるのでしょうか。

 

 

 

だから、男同士の艶っぽい戯れの歌なのでしょう。

 

 

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