価値観を考える-NHKスペシャル「自閉症の君が教えてくれたこと」を観て-
今回は創作のことではありません。
私は、障害や病気を抱えた人のドキュメンタリーを観るのが、苦手です。
かわいそうだと胸が痛くなるし、結局それは、上から目線の同情のような気がして、厭になります。
かと言って、同じラインに立つことは不可能です。
昨日、NHKスペシャルを観ました。
NHKドキュメンタリー - NHKスペシャル「自閉症の君が教えてくれたこと」
最初は裏番組のフィギュアスケートを観ようとしたのですが、取材の対象となった東田直樹さんの著書を持っているし、興味本位でも、憐れみでもいいから、知ることは大事じゃないかと思いました。
東田さんは、著書を読むと、自閉症だとはわからない、巧みな文章を書かれます。
しかし、キーボードと同じ文字列が書かれた紙かパソコンの前でないと、まともに話せないし、落ち着きがなく、大変失礼ですが、その様を何も知らずに見れば、怖いと思うかもしれません。
取材をするディレクターはガンを患っており、東田さんを取材することで何かを見出そうとされていました。
けれども、何度目かの取材の日、東田さんが苛立っているのに気付きます。
視聴後の記憶を頼りに書いているので、若干違うかも知れませんが、東田さんは言いました。
「自閉症の僕ではなく、作家の僕を見て」
彼は、自閉症であることより、作家であるということに興味を持ってもらいたいと思っていたのです。
何か身体的に障害を抱えた人と接する時、つい、その障害のことが気になり、気を遣いすぎてしまいます。
乙武洋匡さんだったかと思うのですが、「障害は不便だけど、不幸じゃない」という言葉が忘れられません。
「不幸」と思うのは、自身の価値観に基づいてであり、その価値観は、また、人それぞれなので、万人が「不幸」と思うとは限りません。
否定するのではなく、受け入れる広い心があればいい。
そう思います。
NHKで、12月14日水曜日午前0時15分から再放送があるそうなので、興味を持っていただけたら・・・。